あら…。貴方が、執行人なのね?[女は緋亜麻の髪を揺らした。灰色だった瞳は、今は暗紅色の輝きを呈している。薄く笑む口元に覗くそれは――白い、狼の、牙。] …嬉しい。 ねえ、見て。これがほんとうの私。生まれたままの、偽りのないすがた。[月明かりに手をかざす。その手は最早、獣の爪を持ったヒトならざるモノ、であった。]