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やれやれ。僕はゆっくりとソファに身を沈め、サイドテーブルの上にあるウォッカのグラスを傾けた。
「誰か助けてくれ」
もちろんウォッカが返事をすることなどない。そもそもウォッカに話しかけたわけではないのだから返事が帰ってこなくても問題はなかった。
雷の音がうるさいな、と僕は思った。そのくせ、村の中がやけに静かだった。
僕はうすうす気付き始めていた。
そろそろ限界だ。
僕は隣にいるネイに視線をやった。ネイも、僕に視線をくれた。ネイは、悲しい男ね、と言って笑った。寂寞とした、神秘的な微笑みだった。